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2020/01/01(Wed) 00:00 About
*詩はこのトップ記事の次からです。



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ひだりて

2014/02/18(Tue) 15:48 詩集「Lilium」
なにもきこえなかった

うすぐらい
よもぎのへや

みなうずくまり
うごかない

うなじにかかる
ひそめたいき

あついむねに
みをしずめて

くすりゆびに
ふれるかんかく

ぼんやりとゆれる
かべのふたしかさ


目が覚めた


ねむりのなかの
あなたを残して



あやかし 二

2013/01/27(Sun) 20:42 あやかし
咄嗟に木の陰に隠れた。反射と言ってもいいくらい瞬間的に身を隠した。
大昔、まだ人が野生の存在だったころの動物的な勘が揺り起こされる。
感覚の細い弦が弾かれたかのような感覚。
話しかけてはいけない、姿を見られてはいけないと、本能が激しく警報を鳴らす。
嗚咽は驚いて泣くのを忘れた赤子のように、ぴたりと止まってしまった。
木の肌にかけた手は震え、ばくばくと心臓の音が耳元で聞こえる。
額からは冷や汗がふき出している。
眼球は潤滑油を失った機械のようにぎこちなくぶれて、苦しげに荒くなる息を抑えられない。

それでも、見たいという欲求は抑えられず。恐る恐る、覗いた。

時が違う速度で進んでいると錯覚してしまうようなそこは、まさしく幽玄の世界だった。
薄く木漏れ日をあびて、ぽつりと座っているひとがいる。


そのひとは、顔を緩慢に上げた。こうこと呼ばれた少女は、畏怖すら感じるほどうつくしかった。



形のよい紅い唇が、スローモーションのように、るり、とゆるやかにかたどる。
目は、もはや彼女だけを見る為のもののように、ぴくりとも動かない。

深い森のひかりを集め白く浮かぶ、つるりとなめらかな頬があざやかな唇をのせ、笑みの形へゆるりと動く。長い睫毛にふちどられた瞳は、仄暗い中、ろうそくに灯った火のように紅くちらちらと燃えている。動きにあわせて流れる髪からは銀の月光があふれている。

ただ、その容姿をこれらだけで描きつくせたなら、どんなに安堵したであろう。
私は見てしまったのだ。
それが、現実にはないものをもっていることを。

髪の間からは狐のような大き目の耳が顔をのぞかせ、腰のあたりからは豊かな尾が揺れていた。とても、そのひとを「人間」とは呼べないような。

うっそりと眺めることしかできなかった。魂が抜かれてしまったかのように、口をあけ、ただぼうっと見入る。その存在はあまりに現実性を欠いている。帰らなければならないことも忘れ、脳内には目の前の光景があふれかえっている。
なので、視界の端に黒い影が動いた時は、現実離れしているところにまた似たようなものが現れたというくらいのもので、さして驚かなかった。
もう、常識というものは麻痺していた。
それどころか、それがステージにあがる様を、恐怖とないまぜになった期待と共に、いまかいまかと待ちわびた。

濡れた黒羽のような髪が、つやりと揺れた。こうこ と発し、弧を描く赤く薄い唇。乳白色の肌は、薄暗い森の中に淡くぼんやりと光を放っている。切れ長な眦の中に、湖の底が目を覚ましたかのような深い青の瞳。前髪は目の上で切りそろえられ、長い髪は頭の後ろでくるりとまとめられている。

耳と尾は、当然のように、しかしひかえめに存在を主張している。

「紅子、あなたは真っ白だから、
 あたたかい色の花が似合うと思ったの。
 これ、あなたに。」

落ち着いた声は、森のしじまの中に吸い込まれていった。
瑠璃が、黒い袖の間から隠すように持っていたものを取り出す。
夜のような黒い着物の上で、描かれた白い鳥が動きにあわせてはばたいている。
その手元には、花冠。
赤、桃色、黄色、オレンジ色と、暖色の大き目な花々でふわりと編まれている。
紅子はゆるやかに微笑んだ。促すようにちらりと瑠璃を見る。
瑠璃の細く白い指が、少し急くように冠を紅子の頭へのせる。

「うん、とてもよく似合ってる。
 綺麗。」

花冠を作ったのだろう瑠璃は、少し体を離し全体を見て、
紅子の華麗さに花がほころんだような満面の笑みを浮かべた。
そして、その手元に目を落とす。紅子の手にも、花冠がのせられていた。
小さな白い花と、太陽のような黄色い花が輪の中に咲いている。
既に知っていただろうに、たった今気付いたとでもいうように瑠璃は少し驚いた顔をして、嬉しげに紅子の手元を眺めている。
きっと、瑠璃は紅子が自分のために花冠を編んでいるところを見ていたのだろう。
紅子のサプライズを、くすぐったいような気持ちで微笑ましく見守っていたに違いない。
瑠璃は、これはわたしへのもの?とでもいうように、わずかに首を傾げ、紅子の目をのぞきこむ。
紅子はこく、と頷いた。

「瑠璃、ありがとう。
 偶然ね、私もあなたに作ったの。
 あなたはきれいな青い目をしてる。
 青には黄色と白がよく合うわ。」

紅子が花冠を持った手を伸ばす。
着物に咲いている赤い椿が、白い布の上で揺れた。
瑠璃は笑んだまま目を伏せ、紺の袴の裾を引いて、うやうやしく片膝をつく。
紅子はその頭に花冠をのせる。

そのさまは、女の子の可愛らしい遊びではなく、厳かな戴冠式を思わせるほど幻想的だ。



私は、今までの人生の中で、神の存在を信じたことは一度もない。
しかし、神の化身としか彼らを形容する言葉が見つからないほど、神秘に満ちたものを見てしまったのだ。
この森に迷い込んだ経緯も帰らなければならないこともすべて忘れ、遠く気高い存在に思いを馳せるくらいに。

彼らは、あまりにも無垢で、うつくしく。
生きているというにおいがしなかった。









あやかし 一

2013/01/26(Sat) 19:06 あやかし
湿った午後の光の中の森。
この世に存在してはいけない美しさは、
俗世から身を隠すかのように、ひっそりと息づいていた。







あやかし







走る。
ただ走る。
方向は分からない。
足もとに這うものに何度も躓きながら、獣道でさえない場所を彷徨する。
獣の咆哮も聞こえない、静かな午後。
ただ私のしゃくり上げるみっともない声だけがこだまする。



<ただ試したかっただけなの。>

さっきから幾度も再生される彼女の映像が、また口をひらく。

<ただ女の子と恋愛がしてみたかっただけなの。>

聞きたくなくて、髪ごとわしづかむように耳をふさぐ。
それでも彼女の声はやまない。

<それもアリかなって思ったんだ。
というか、もしかして女の子が好きなのかもって思った時期もあった。
だから、女の子と付き合ってみたら分かるのかも、って。
だけどね、やっぱり私、そうじゃないのかも。
もう卒業だし、ごめん、最低だって分かってる。けど、なんていうか…。>

別れよう。

鼻の奥がつんとして、
瞼が暗雲が立ち込めたかのように熱く重くなって。
発せない言葉の代わりのように、涙がどっとあふれる。

<今までどうもありがとう。>
さよなら。

引き攣ったうめき声をあげて崩れ落ち、その場にうずくまった。


私の高校は女子高だ。
そんな女だらけの場所で、彼女は一層美しく、浮き上がって見えた。
気が付けば、彼女を目で追うようになっていた。
それが仄かな恋情からくるものだという事も、分かっていた。
けれども、運動部に所属し、快活でいつも周りに人がいる彼女には手が届かないだろうことも、十分すぎるほどに分かっていた。

そんな彼女が、二年生のある日、私に初めて話しかけた。
<ねえ、私ね、あなたが好きなの。付き合わない?>
それは私への告白だった。
私の想いが天に通じたのか。
千載一遇のチャンスがやってきた。
過ぎた幸運に震えながら、一片の疑いもなく、彼女の申し出を承諾した。

私は持ちうる限りの愛を、彼女にささげた。
ずっと遠くから見つめることしか出来なかった彼女が、今、自分の腕の中にいる。
私の燃えるような愛に戸惑っていると恥ずかしそうに言った彼女を、そっと壊さぬように、でも離れぬようにしっかりと抱き寄せた。
彼女も微笑んで、私に寄り添ってくれた。
周りの人間の目を盗んだひどく背徳的な秘めごとはなおさら私達を燃え上がらせた。
一緒にいればいるほど、彼女が見せる様々な表情に、私は本気で、のめりこんで、溺れて。
なのに。
友達ですらなかった私を後腐れのない都合の良い存在と見て。
実験台にしたというのか。

わたしひとりが勘違いをして、舞台の上で、
彼女へ滑稽な愛の歌をささげていたというのか。

卒業式に出た格好のまま、気が付けば、深い森の中だ。
辺りを見回すと、3月とは思えないほど緑の濃い、不気味な森。
まだまだ寒いはずなのに、全く冷えを感じないことが、奇妙さを助長している。

力の入らない脚を叱咤し、よろよろと立ち上がった。
体は石を飲んだかのように重いが、帰らなければならない。
どんな絶望の中でも、私たちには生活がある。
長く続けてきた流れの中から突然飛び出す勇気を持つ者はほとんどいないのだ。

鼻水をすすり、ポケットを漁って携帯を取り出す。
帰らなければという思いを裏切るかのように、無機質に光る画面は圏外であることを示していた。
そういえば、偶然通りかかったバスに飛び乗ったような気がする。
どこで降りたのだろう。
記憶は涙が滲んだかのように曖昧になっている。

とりあえず進もう、そうしたらここから出られるかもしれない。
鬱蒼とした木々の中で、僅かに光が射す方へ向かった。
その時。


「こうこ。」


突然人の声がした。


人がいる。
私は安堵の溜息をついた。

良かった。
ここがどこかを聞けば、帰れる。
泣き腫らして真っ赤な目元を不審に思われるかもしれないが、この際そんなことには構っていられない。
このままでは、夜が来てしまう。

その声の主に声をかけに足を踏み出そうとした時、


この世に存在するはずのないものを見てしまった。








白い朝に

2013/01/20(Sun) 17:21 2013年
真っ白な朝に
ふと懺悔したくなる

純真なままでは
生きられないわたしたちの

日々重ねられていく
幾多のあやまちをおもって

分け隔てなく慈しむようにふる
雨も 日の光も

わたしたちの罪を清める
免罪符になどなりはしないのに

それでも甘い露のように
つみびとたちを癒しつづける



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Author:紫苑
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引き寄せられ、
詩を綴っています。

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:遠方にある人を想う

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